バリの絵を極める~バリ島7
▼バリの絵には画風が始まった年代によって5つに分けられる。もともとバリには,18世紀以降,天然顔料を使ったヒンドゥー教の神話を題材にした絵はあった(カマサン・スタイル)。しかしヨーロッパから画法や絵の具等が伝わり,1930年代からバリの絵は急速に進化する。バリの絵を世界に紹介し,自らもバリに移住し,絵を描いた最初の人間はドイツのウォルター・シュピースが最初だ。彼は1927年にバリに移住し,西洋画法(遠近法)などをバリの人たちに広めた。その後,たくさんの西洋画家がバリに移住し,自ら絵を描くとともに,バリの人に絵を教えていった。1930年代から西洋の影響を受けたバトゥアン・スタイル,ウブド・スタイルという画風が広がる。どちらも生活に密着した絵だが,前者は細密画で色調は暗く,後者はウブドに暮らす人たちを見たままに描く,明るい色調である。バリに住み着いたヨーロッパの人たちがウブドを中心に絵を描き,広めていったので,この後,バリ絵画はウブドが中心となる。1960年代になると,オランダ人画家アリー・スミットの影響を受けた若い画家が,ウブド・スタイルよりもカラフルな絵を描くようになった(ヤングアーティスト・スタイル)。そして1970年以降プンゴセカン・スタイルという花や鳥など自然を描く画風も登場した。これら5つの画風は年代の差こそあれ,現代にも生き,ウブドのギャラリー巡りをすると,どの画風の絵も見ることができるし,購入も可能だ。人それぞれの趣向はあるが,細密画よりはウブド・スタイルやプンゴセカン・スタイルが,飾ってバリらしく見える絵だろう。【2011/9/18(日) 午前 11:00】 |
↓絵画を売る店(いずれもウブド)

ウブド中心部から見て西部や南部にはバリ絵画のギャラリーが点在する。なかでもウブド中心部から南東へ約2kmにある「ニョマン・スメルタ・ギャラリー」には1000点以上のストックがあり,少なくても量では最大のギャラリーだ。値段は交渉性だが,普通は額縁付きの販売となる。額縁は主に木枠で模様のついたものが多い。額縁は分解可能なので,1辺が100cm未満の絵であれば,日本への持ち帰りは難なくできる。問題は絵本体だが,実は油絵よりもアクリル画が多い。アクリル画は汚れなどをふき取ることができ,扱いはたやすい。さらに丸めることが可能なので,丸めて,筒に入れてもらえば,スーツケースにも楽々入ってしまうのだ。そのあたりはギャラリーの人から話を聞けばよい。ギャラリーの人は画家が兼ねていることもあり,自分の絵を自ら販売している場合もある。だからといって,さかんに自分の絵を売ろうとするのではなく,客の好みが最優先である。 |
↓「ニョマン・スメルタ・ギャラリー」

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