09 /18
2011
香港の朝食といえば,粥が真っ先に思い浮かぶだろう。香港では粥は朝食の立派なレパートリーのひとつだ。作り方は店によっても秘伝があるのだろうが,油に浸した米をスープで煮込むので,とろとろになって,米の形はもはや残っていない。そのあつあつの粥をレンゲですくって口に運ぶ。【2011/9/18(日) 午前 8:48】 |
↓香港都心部の朝の様子

チェーン店ではあるが,旨いというので,「海皇粥店」の油麻地店に入った。この店はテーブルに座ると,オーダー用紙が置いてあるので,欲しいメニューに○をつけて店員に渡す方式だ。用紙にはメニューが漢字で書かれているので察しはつくが,わからないものもあり,無難な線で,知っているものをオーダーした。オプションで粥に付き物の揚げパン(油条)も頼んだ。これを粥に浸して食べると,さらに油分が浮いてダシがさらに風味も増すし,揚げパンの食感もよい。朝起きて食が進まない時でも,食べられるから不思議である。店は午前中が客のいちばん多い時間帯なので,ひっきりなしに人の出入りがある。粥の種類は豊富で,日本にあるような梅が入ったあっさりした粥はなく,中華のダシが基本である。ご飯粒の形が残らないほど煮込んだ粥は日本では見られない。量もあり,でんぷん質なので,エネルギー源を朝しっかり摂るということに関しては合格点である。韓国にも粥専門店があり,栄養価の高い具の入ったさまざまな粥が食べられたが,日本にはこのような粥専門店はないに等しい。やはり日本はアジアではないと思う。 |
↓「海皇粥店」の店先

↓シンプルできれいな店内

↓メニューには日本語表示も

↓米粒がとろとろに溶けた粥

↓揚げパン(油条)は粥には打ってつけ

↓油条を入れるとこんな感じ

日本は経済用語で「ガラパゴス」と揶揄される。南太平洋にあるガラパゴス島は大陸から遠く離れた孤島で,古来から大陸との往来がなかったため,大陸ではけっして見ることのない固有の生物種が進化してきた。日本は古来からアジアと行き来はあっても,アジアを見習おうなどということはなかったので,技術やサービスの参入がなく,その結果世界標準とはかけ離れた製品ばかりになり,それらは日本以外で通用することはない。日本が井の中の蛙,あるいはガラパゴス化と密かに言われる所以である。携帯電話しかりパソコンしかりである。日本でいくらシェアが高くても,NECの携帯電話も,富士通のパソコンも日本以外にはまず存在しないのである。食文化においても日本はアジアには含まれないとみるのが妥当である。米を食している点は共通していても,料理は似ているようでまったく異なる食文化である。漢方,粥,麺などよくよくみると,中華圏+韓国+東南アジアは作り方・食べ方・普及などに関して共通点が見られるのに,日本だけは蚊帳の外である。「日本はアジアだ」というのは,単に地理的な区分に過ぎない。日本が島国であることをけっして忘れてはならない。奈良・平安時代などと違って,大陸とはもはや文化が著しく異なっている。日本の文化が劣っているとかいうのではなく,アジアに含めるには無理があるということである。 |


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