花咲線の車窓から~道東4
▼花咲(はなさき)線とは,根室本線のうちの釧路・根室間(135.4km)の愛称である。愛称というほど,地元住民に使われている路線ではない。高校生とお年寄りだけが使う鉄道になってしまっていることは全国のローカル線共通だ。北海道観光の盛んな夏でさえ,ツアーであれば貸切バス、個人であればレンタカーが主流になってしまっていて,鉄道旅行をする人は減る一方であるから,年間を通してこの路線が混雑することはけっしてないだろう。 |
花咲線に初冬に乗ってみた。根室から釧路まで2時間20分ほどかかる。それでも,駅が少ないせいか,都心の私鉄などよりははるかにスピードは速い。実は往路の釧路から根室まではこの路線を利用しようとしたが,釧路駅発車10分前に震度4の地震が起こり,運休してしまったので,急遽バスに振り替えたので,復路だけの利用となったのだ。地震の多い北海道の太平洋側ではたまたま起こることらしい。出発地の根室は,北海道の最東端に位置する人口3万ほどの水産業の街だ。東京などと違って,家が絶え間なく続くことはなく,街の端では忽然と家がなくなり,その先は原野となる。北海道各地に共通した景色である。根室を出た気動車(電車ではない)が最初に停車する東根室という無人駅は,日本最東端の駅である。今まで最北端(稚内駅),最西端(沖縄都市モノレール那覇空港駅),最南端(沖縄都市モノレール赤嶺駅)にも行っているので,東西南北を制覇している。次の停車駅は花咲駅である。花咲ガニの水揚げでも有名な花咲港とは少しどころかずいぶんと離れている。根室市内から花咲港に行くには1時間に1本のバスかタクシーしかない。この辺りは馬の放牧も行われいるので,車窓からも見える。その後は家もめったになく,林や原野の中を線路だけが果てしなく続く。根室からは10人ほどが乗車したが,いつのまにか乗客は2人になり,運転士とあわせても3人の,典型的な赤字ローカル線の風情になった。【2010/12/29(水) 午前 10:59】 |
↓根室市街・・・右側が北,左側は南方向(クリックで拡大)

やがてカキで有名な厚岸湖にさしかかる。湖畔にはシベリアからやってきたであろう白鳥が羽を休めていた。外は日中とはいえ5℃もないのに,寒くないのだろうか?厚岸を過ぎると,雲がどんよりしてきて,薄日が見えるものの,夕方のような景色になってきた。釧路が近づくと,原野が途切れ,農家が見え始めるとともに,収穫の終わった畑作地が見え,何かホッとする気分になる。慣れない景色を見るのもいいが,2時間も続くといささか退屈であるが,そうはいってもオフシーズンの北海道もたまにはいいものである。 |
↓厚岸湖の白鳥(画面右下クリックで拡大)

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