多民族国家マレーシア~クアラルンプール1
▼大和民族が大多数を占める民族構成の日本ではなかなか実感できないし,アメリカ合衆国が長期間大量に移民を受け入れてきたとはいえ,マレーシアほど宗教・文化の違う民族が入り混じっている国家もあまりない。65%を占めるマレー系はイスラム教,25%を占める華人系は仏教ほか,9%を占めるインド系はヒンズー教を信仰している。マレーシアの領土はマレー半島部とカリマンタン(ボルネオ)島の大きく2つに分かれるが,マレー半島部はマレー系は半分ほどで,華人系の割合が高い。もともと華人系は中国南部からの移民で,商業に長けていたので,昔から資金はあり,商売を行ってきた。それに対してマレー系はもともと農民で,それほど稼ぎは無かった。そのため華人系とマレー系の経済格差は広がるばかりだった。ついに政府はマレー系優遇政策に打って出て,今でもその影響が残っている。【2009/6/6(土) 午後 1:29】 |
↓クラルンプールのシンボル・KLタワー

マレー系の女性はトゥドゥン(イスラム教徒の女性が頭に着用するスカーフ)をかぶっている。マレーシアのイスラム教の戒律はそれほど厳しくは無いので,目以外を隠したりする中東の本格的な服装はないが,年配者には体全体を黒で覆う人もいないことはない。若い女性はトゥドゥンは必須だが,上着は何を着てもいいらしく,他の戒律の厳しいイスラム国家からすると意外とおしゃれを楽しんでいる。ただし,ボトムはスカートはだめで,ズボンということになる。一方、華人系はまったくもって戒律などというものはない。中国や台湾と同じく,商売を中心に生計を立て,自由に暮らしているという印象だ。インド系は居住地が限られ,彼らの住む街はどこからともなくカレーの香料の匂いがしてきて,行き交う人も圧倒的にインド系になるので,地図でインド人居住区がわからなくても匂いでわかってしまう。このような主に3民族が共存共栄していく社会はたいへん珍しい。中国も多民族社会だが,圧倒的に漢民族中心社会になっており,少数民族は多少なりとも束縛を受けている。民族が多いと文化も多様で,まさに多文化共生といいたいところだが,マレーシアではそれぞれの民族が他の民族の文化を尊びながらも,けっして共生とまではいっていないので,結局のところ,それぞれの民族の文化がそれぞれの民族の中だけで発達していっているといった方がよい。ただし、けっして受け入れないというわけではない。だからといって,華人系の人がイスラム文化を信奉することはまずあり得ないだろうし,マレー系の人が豚肉を食べることもけっしてない。日本人としてはこの3民族と異なる文化を持つので,マレーシアに行けば3つの文化が存分に楽しめるので,一粒で三度美味しい,いやそれ以上のお得感のある国だ。 |
↓主要3民族が仲良く暮らすマレーシア

また,クアラルンプールはホテル代が他のアジアの国の首都よりも安い。物価が安くてもホテル代を高くしている都市もあるが,クアラルンプールはソウルや上海,台北,香港,バンコクよりも安い。ソウルの2つ星とクアラルンプールの4つ星のホテル代金はほぼ同じだ。奮発して5つ星に泊まってもたいして懐が痛まないようになっている。また基本的にホテルの料金に朝食(たいがいバフェ〔ビュッフェ〕)が含まれているので,尚更お得感がある。 |
↓繁華街ブギッ・ビンタンにはホテルが多い

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