地盤沈下を止められない成田国際空港
▼地盤沈下と言っても,土地が沈んでいるわけではない。国際的な地位が沈下し始めているのである。アジア各国の玄関口となる首都圏国際空港は国家戦略で着実に発展・拡張を続けている。また,オープンスカイ協定が二国間,経済連合間などで結ばれ,人や物の自由な行き来を活発化させている。首都圏国際空港を国家戦略と位置づけていない国の空港(成田)はやがて国際的地位が下降し,没落していくことだろう。 |
アジア各国の国際空港の拡張ぶりを見ると, |
●仁川国際空港(ソウル)…2008年夏から第3滑走路を共用開始。第4滑走路を増設予定。 |
●首都国際空港(北京)…第3滑走路を2007年10月から共用開始。 |
●浦東国際空港(上海)…第3滑走路を2008年3月から共用開始。第4,第5滑走路を増設予定。 |
●白雲国際空港(広州)…第3,第4,第5滑走路を増設予定。 |
●チャンギ国際空港(シンガポール)…第3滑走路を増設予定。 |
●クアラルンプール国際空港(クアラルンプール)…第3,第4滑走路を増設予定。 |
●台湾桃園国際空港(台北)…軍用滑走路を第3滑走路として共用予定。 |
●チェクラップコック国際空港(香港)とスワンナプーム国際空港(バンコク)も滑走路などの増設を計画中。 |
などと国を代表する空港が滑走路を3本持つのは当たり前と考えられており,さらに4本目,5本目とアメリカクラスの大きな空港が目白押しである(アメリカのダラス・フォートワース空港は8本もある)。これらの空港は,イギリスの民間航空調査機関スカイトラックスの利用者による空港満足度調査でも上位に入ってくる空港である。対して,日本の代表的な空港としてみられている成田国際空港は現在滑走路が1本半である。「半」というのは,距離が短すぎて,大きな航空機の発着ができないので半分ということである。2年後にこの「半分」の滑走路は少し延びるが,それでも国際空港の滑走路というべき長さではない(2500m)。さらに成田では3本目の滑走路建設の予定もない。こんなチープな空港が日本の玄関口とは世界に恥ずべきことである。成田に乗り入れを希望している国が数十か国もあるそうだが,このままの状態では,それが叶うこともあり得ない。ハブ空港としての存在感もまったくなく,成田国際空港はいずれ没落するだろう。もはやアジアの主要国にも勝てないことが明らかだからだ。【2008/6/28(土) 午後 6:59】 |
事実,貨物取扱量は香港,仁川に抜かれ,現在世界第3位だが,4位の浦東に抜かれるのも時間の問題で,さらに国際線旅客数も現在世界第7位で,5位に香港,6位にチャンギがあり,8位のドバイ,9位のスワンナプーム,11位の仁川に抜かれるのも時間の問題である。国際線旅客数は,とくにハブ空港としての性格が強くないと,これから急激に増えることは考えられない。成田以外は皆ハブ的な役割を持った空港なので今後も増えることが期待できるが,欧米から来た旅客が成田で乗り継いでどこか,例えばアジア各国に行こうとするか?というと,NOである。成田はハブ空港としての役割を自ら捨てているので,乗り継ぎの飛行機の発着時刻が,乗り継ぎ客に便利な時間帯に設定されていない。あくまでも日本への出入国用にだけ作られた空港である。これによって今後,成田のさらなる地盤沈下が加速するだろうし,もう誰にもこれを止めることはできない。 |
香港チェクラップコック国際空港

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