カムフラージュされたショッピングセンター~トゥルク5
▼冬の長い北欧では全天候型ショッピングセンターが欠かせない。トゥルク中心部にある「ハンサ・ショッピングセンター」はそんなコンセプトで作られたものだ。このショッピングセンターのある場所は,マーケット広場の西側の道路を隔てた1区画だ。約200店舗のテナントが入っている。日曜でもオープンしているので,他の店が閉まっていてもここなら十分買い物を楽しむことができる。平日・土日問わず22時まで営業している。このショッピングセンターの建物はまわりの道路からではまったくわからない。道路に面した建物は従来型の石造りで,築数十年から百年は経っているようなつくりである。マーケット広場に面している区画の東側の建物には,外壁にマリメッコだH&Mだなど,日本でも知られたブランドの文字が並ぶ。この区画の北側の西にはヘルシンキに本店のあるストックマン百貨店がそびえ立つ。このように区画のまわりを囲むように従来型の石造り建築が並ぶのが,ヨーロッパの街並みだ。区画の中央には中庭があったり,空間が設けられていることが多い。その空間にショッピングセンターを作ってしまったのが,「ハンサ・ショッピングセンター」だ。とはいえ,区画の中央部にあるのは,まわりの建物とを相互に結ぶスペースに過ぎず,上を見るとガラスの大きな屋根で覆われている(グーグル・アースでそれがわかる)ので,雨や雪などの気象条件に左右されることなく,まわりを取り囲む商業ビルのどこにでも出入りができるようになっている。中央の空間は屋根が高く,立体的な構造で,この空間だけで垂直移動が可能なので,いろいろな歩き方ができる。中央部のスペースにも小さな店舗があり,小物などを売っている。ベンチはあるが,数は少なく,残念ながら休憩を取るには不十分かもしれない。【2016/9/21(水) 午後 10:04】 |
↓北東側の道路に面した伝統的な商業ビル

この区画のまわりの道路を一周しても,中にこのような近代的な空間が存在し,各商業ビル相互がつながっていることはまったくわからない構造になっている。従来型のビルにカムフラージュされ,まるで秘密基地のようだ。まわりの石造り建造物から中に入って,それも奥に進んでいかないと,この先に空が見える全天候型の空間があるとはわからない造りは,伝統的な建物を守りながらも,雪や雨を気にせずショッピングを楽しめることを可能にしたトゥルクの人たちのアイデア勝ちだろう。トゥルクには郊外にも大型のショッピングセンターがあるが,そちらは日本と同様で低層の現代建築のごく普通の建物だ。冬にショッピングを楽しむには,やはりアイデアが必要だ。 |
↓ウィンドウショッピングを楽しむトゥルクの若者

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