フロム鉄道の車窓から(後編)~ソグネフィヨルド4
▼すれ違って1分ほどして発車した。あと15分ほどで終点フロムだ。相変わらず,断崖と渓谷と滝と集落という景色が続くが,山肌が見えているのとは違い,木々などの緑で覆われているので,目に優しく,何度見ても新鮮に見えてくる風景だ。どこかで見たような景色だと思ったが,この景色は建物こそ違ってもスイスの山岳景色に近い。スイスにフィヨルドはないが,山岳地帯なので渓谷が至る所にあるのでとてもよく似た景観だ。数分でまた渓谷の右側に線路が移動し,にわかに左側の眺望が開けてきた。フロム方面の山には雲が低く立ちこめているが,雨を降らせるような雲ではない。線路が渓谷の底より高いところを通っていて,下の方を見ると,家の数が増えてきた(午前11時38分ころ)。また,渓谷の底をフロム川が流れている。今まで車窓から見てきた滝から流れ落ちた水が集まったためか,フロム川の水量は豊富で,水しぶきをあげて豪快に流れている。【2016/9/19(月) 午後 6:36】 |
↓滝があちこちに見える
ホーレイナ駅の周辺は谷の幅が広くなり,しばらくすると,左側に茶色っぽい板張りの教会が見えてくる。フロム教会だ(午前11時40分)。北欧にはおなじみのスターヴ教会といわれる木造建築のもので,この教会が建てられたのは1668年とか。この教会を見ると,ウルトラ怪獣のキングギドラを思い起こすのは私だけだろうか。そんな古い教会の周辺には,北欧建築のパステルカラーの色をした家屋が少しずつ現れてきた。羊などの牧場もある。遠くには,落差140mのリョウアンネ滝も見える。起伏はほとんどなくなり,周りは山に囲まれているが,山岳鉄道という雰囲気はなくなった。フロムは近い。フロム川沿いには,散策をする人も増えてきて,牧歌的な風景の中を列車は走っていく。この辺りも,昔,氷河がもっと削っていれば,今は海の底である。フロム鉄道が走るこの渓谷全体が実はフィヨルド予備軍だった。削れ方が大きかった北の方だけが浸水し,南側の谷間は浸水を免れたということになる。フロム川は,昔からサケ釣りの伝統が続いていたが,資源保護のために長い間サケの捕獲が禁止されていた。近年,一時再開されたが,また禁止されているようだ。午前11時45分,フロム駅に到着。 |
↓木造のスターヴ教会だ
20kmの距離,864mの高低差を走りきったことになる(といっても下りオンリーだったが)。ショースの滝でのショーアップが数分あったので,正味40分くらいの乗車だったが,上りの列車はもう少し時間がかかるだろう。渓谷の風景を存分に楽しめたので,あっという間であったが,毎日のように雨の予報が出ていたことを思うと,晴れ間が出てきて何よりだったと思う。曇りや雨では撮った写真が台無しである。 |
↓フロム駅のホーム(向こうには海外からの客船が)
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