ベトナムというところ~ハノイ1
▼雨季を目前とした5月上旬のハノイは,気温35℃以上・湿度80%以上にもなり,思考力は完全に麻痺状態となってしまった。とにかく夜通し冷房をつけていても,部屋には前日の熱気が残り,そのうえ街は無風状態で日陰でも涼しさを感じない。この暑さのなかでも,人々はごく普通に生産活動をし,一方で消費活動をしている。夕方はスコールに見舞われることも少なくない。排水溝などがあまり完備されておらず,道路が冠水すると,翌朝まで水が引かない。
この街に限らず,ベトナムには異常なほどバイクが多い。人々にとってバイクをもつことはステイタスである。通勤にも,物の運搬にもバイクが主要手段である。バイクを使ったタクシーまで存在する。日本でいうところの原付は,ベトナムでは免許が必要ないし,ヘルメットの着用も義務化されていない(2005年現在)。そのためか危険きわまりない運転も多く,2人乗りに及ばず3人乗りというのも珍しくはない。日本の渋滞は道路上が四輪車で占められるが,それを二輪車に置き換えたのが,ベトナムの都市部の朝の風景である(写真1番目)。おまけに排出ガスがひどく,体が汚れるからでもあろうか,色鮮やかな個性的なマスクをしたり,手袋をはめたり,ちょっと日本では考えられない様相でバイクにまたがっている。ハノイには信号というものがほとんどない。とくに北部の旧市街にはほとんど存在しない。バイクのラッシュの中で道路を横断することは至難の技である。向こうからよけてはくれるが,切れ目のないバイクの洪水に向かって垂直に道路を渡ることははっきり言って命がけである。数回繰り返せば,多少なりとも慣れてはくるが,足腰の弱い老人などはたまったものではない。自動車も増えつつはあるが,まだしばらくはバイクの天下が続くであろう。
旧市街は数多くの通りが入り組んで,迷路とまではいかないまでも最初はまず迷う。通りごとに商品群の似通った店が並び,例えば骨董品街,食料品街,おもちゃ街など,ストリートウォッチングには飽きない(写真2番目)。人通りは多いものの,店で買い物をしている客は少なく,商売として成り立っているかは甚だ疑問であるが,この国は公務員の兼業が認められていて,副業で商店などを経営している者も多いようだ。公務員の給与が高いのか安いのかわからないが,普通に暮らしていくだけは出ているだろうから,副業でそんなに稼ぐ必要がないのかもしれない。
「癒しの国」と日本の観光パンフレットにはよく書かれているベトナムであるが,高温多湿,交通渋滞,排気ガスなど,と並べられると生活感が優先してしまい,旅行をしてみたい気分は吹っ飛んでしまうかもしれないが,とにかく異文化を観察するには大変面白い国である。【2006/3/25(土) 午後 10:06】
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